
はじめに
2026年度から、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。翌月控除の会社では5月支給の給与から天引きが始まっており、半年がたった今も、従業員の方から次のような質問を受けることがあると思います。
- 「この支援金って何?いつから引かれているの?」
- 「子どもがいないのに払うのはおかしくない?『独身税』って聞いたけど」
- 「これからもっと上がるの?」
本記事では、総務・給与担当者がこうした質問に落ち着いて答えるためのポイントを整理します。冬の賞与でも初めて控除される会社が多いので、この機会にご確認ください。
そもそも子ども・子育て支援金とは
子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源として、医療保険の保険料とあわせて全世代から集める仕組みです。会社員の場合は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)を通じて徴収されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2026年4月分の保険料から |
| 支援金率(会社員) | 0.23%(2026年度、全国一律) |
| 負担の仕方 | 健康保険料と同じく労使折半 |
| 賞与 | 標準賞与額 × 0.23% を労使折半で徴収 |
| 育児休業中など | 健康保険料が免除される期間は、支援金も免除 |
従業員本人の負担はいくら?
本人負担は「標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2」で計算します。目安は次のとおりです。
| 標準報酬月額 | 本人負担(月額) |
|---|---|
| 20万円 | 230円 |
| 30万円 | 345円 |
| 50万円 | 575円 |
「思っていたより少ない」と感じる方も多い金額です。数字で示すと、それだけで納得される方も少なくありません。
よくある質問への答え方
Q1. 「独身税」って本当?子どもがいないのに払うの?
子どもの有無や年齢にかかわらず、医療保険に加入しているすべての人が負担する仕組みです。ですから、「子どものいない人だけが払う税金」ではありません。
集めたお金は、児童手当の拡充、妊婦のための支援給付、こども誰でも通園制度、育児休業中の給付の上乗せ(出生後休業支援給付)、育児のための時短勤務への給付(育児時短就業給付)などに使われます。こども家庭庁は「社会全体で子育て世帯を支える仕組み」と説明しています。
制度の是非をめぐってはさまざまな意見があります。会社としては制度の評価には立ち入らず、仕組みと金額を事実として伝えるのが無難です。
Q2. これからも上がるの?
上がる見込みです。 国全体の徴収額は、2026年度の約6,000億円から2028年度には約1兆円へと段階的に増やす計画になっています。支援金率も、2028年度には0.4%程度になると見込まれています。
「来年度以降は国が率を決めて、また案内があります」と伝えておけば十分です。
Q3. 健康保険料と何が違うの?
徴収の仕組みは健康保険料と同じですが、使い道が医療ではなく子育て支援という点が異なります。このため、健康保険料と区別して表示することが勧められています。
給与明細は「内訳を分けて表示」がおすすめです
支援金を給与明細で別の項目として表示することは、法令上の義務ではありません。 ただし、こども家庭庁は事業主団体などを通じて、給与明細に内訳を表示するよう協力を呼びかけています。
健康保険料にまとめて表示していると、次のような問い合わせが起こりやすくなります。
- 「4月分から健康保険料が上がったのはなぜ?」
- 「保険料率が変わっていないのに、計算が合わない」
明細上で支援金を別の行にしておけば、こうした問い合わせはかなり減ります。 給与計算ソフトの多くは、すでに内訳表示に対応しています。設定を一度確認してみてください。
冬の賞与の前に確認したいこと
2026年の冬の賞与は、支援金が加わってから初めての冬季賞与という会社が多いはずです。支給前に次の点を確認しておくと安心です。
- 賞与の計算で、支援金が控除されるように設定されているか
- 賞与明細でも、支援金を内訳として表示しているか
- 育児休業中で保険料が免除されている人から、支援金を誤って控除していないか
賞与の実務全般については「冬の賞与、支給前に確認しておきたい5つのこと」の記事でも解説しています。
まとめ:従業員に説明するときのチェックリスト
- □ 支援金率0.23%・労使折半であることを説明できるか
- □ 本人負担の目安(標準報酬月額30万円で月345円など)を示せるか
- □ 「子どもの有無にかかわらず全員が負担する」ことを、評価を交えずに説明できるか
- □ 今後、率が段階的に上がる見込みであることを伝えたか
- □ 給与明細・賞与明細で、支援金を内訳表示しているか
- □ 育児休業中の方の控除を止めているか
新しい控除項目は、説明がないままだと会社への不信感につながりがちです。逆に、短い案内文を一枚配るだけで、従業員の受け止め方は大きく変わります。
社会保険料の控除や給与明細の表示方法についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
※本記事は2026年10月時点で公表されている情報に基づいています。2027年度以降の支援金率は、国が毎年度定めます。負担額は標準報酬月額による目安で、加入している健康保険によって端数処理などが異なる場合があります。
社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳
