
はじめに
年末は、「区切りがいいので12月末で退職したい」という申出が増える時期です。ところが、年末年始は役所や年金事務所の休みと重なり、手続きの期限がいつも以上に厳しくなります。
本記事では、社員が退職するときに会社が行う手続きと期限、そして12月末退職ならではの注意点を整理します。
退職時の手続きと期限の一覧
| 手続き | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届 | 年金事務所(健保組合の場合は組合にも) | 資格喪失日(退職日の翌日)から5日以内 |
| 雇用保険の資格喪失届・離職証明書 | ハローワーク | 資格喪失日の翌日から10日以内 |
| 給与所得の源泉徴収票の交付 | 退職者本人 | 退職後1か月以内 |
| 住民税の特別徴収の異動届 | 退職者の住所地の市区町村 | 退職した月の翌月10日まで |
社会保険の手続き
資格喪失日は「退職日の翌日」
健康保険・厚生年金保険の資格は、退職日の翌日に失われます。12月31日に退職すると、資格喪失日は1月1日です。
月末退職は、その月の保険料もかかる
社会保険料は、資格喪失日が属する月の前月分までかかります。12月31日退職なら資格喪失日は1月1日なので、12月分の保険料が発生します。一方、12月30日に退職すると、資格喪失日は12月31日となり、12月分の保険料はかかりません(その代わり、本人は国民健康保険・国民年金に切り替えるのが一般的です)。
「1日違うだけで保険料が変わるのはなぜか」と聞かれることがありますので、説明できるようにしておきましょう。
資格確認書の回収
2025年12月2日以降、従来の健康保険証は使えなくなりました。マイナ保険証を使っている方は回収するものはありませんが、資格確認書を交付されている方(本人・家族)には、退職時に返却してもらう必要があります。回収できない場合は、回収不能の届出が必要です。
雇用保険の手続き
離職票が必要かを本人に確認する
雇用保険の資格喪失届とあわせて、離職証明書を提出すると、ハローワークから離職票が交付されます。離職票は、退職者が失業給付を受けるために必要な書類です。
- 59歳以上の方には、本人の希望にかかわらず交付が必要です
- 59歳未満の方は、本人が不要といえば省略できます。転職先が決まっていても、念のため希望を確認しておくと安心です
離職理由は事実どおりに
離職理由(自己都合か会社都合か)は、失業給付の内容に影響します。また、会社都合の離職は、一部の助成金の要件に影響することがあります。事実どおりに記載し、本人にも内容を確認してもらうことが大切です。
税金の手続き
12月に退職した方の年末調整
12月の給与を受け取ったあとに退職した方は、年末調整の対象になるのが一般的です。11月以前に退職した方は、原則として年末調整の対象外で、本人が確定申告を行います。年末調整の準備については「年末調整の準備は10月から」もご覧ください。
源泉徴収票は1か月以内に
退職者には、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する必要があります。転職先での年末調整に使うため、遅れると本人が困ります。
住民税の残りの扱い
住民税を給与から天引きしている場合は、市区町村に異動届を出し、残りの税額を一括で徴収するか、本人が自分で納めるか(普通徴収)を決めます。12月中の退職なら、本人の申出があれば一括徴収、申出がなければ普通徴収となるのが一般的です(1月1日〜4月30日の退職は、原則として一括徴収)。細かな扱いは市区町村の案内を確認してください。
年末ならではの注意点
- 年金事務所やハローワークは12月29日から1月3日まで休みです。電子申請(e-Gov)を使えば、窓口の休みに関係なく提出できます
- 退職日は、有給休暇の消化も含めて早めに確定させてください。最終出勤日と退職日がずれる場合は、どちらで手続きするかの混乱が起きやすくなります
- 貸与品(パソコン・制服・鍵など)の返却と、社内アカウントの停止も、最終出勤日までに段取りしておきましょう
まとめ:年末退職のチェックリスト
- □ 退職日(有給消化を含む)を確定したか
- □ 資格喪失日から5日以内に、社会保険の資格喪失届を出す段取りがあるか
- □ 資格確認書を交付している場合、回収の手配をしたか
- □ 離職票の要否を本人に確認したか(59歳以上は必須)
- □ 離職理由を事実どおりに記載したか
- □ 12月の給与支給後の退職者を、年末調整の対象に含めたか
- □ 源泉徴収票を1か月以内に交付する予定を立てたか
- □ 住民税の異動届を出す段取りがあるか
- □ 年末年始の窓口の休みを踏まえ、電子申請の準備をしたか
退職の手続きは、期限が短く、しかも退職者本人の生活に直結するものばかりです。年末は特にスケジュールに余裕を持って進めてください。
退職手続きの代行や、退職トラブルへの対応についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
※本記事は2026年10月時点の法令・手続きに基づいています。健康保険組合に加入している場合などは、手続きが異なることがあります。税金の個別のご相談は、税理士または所轄の税務署・市区町村へお問い合わせください。
社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳
