
はじめに
12月のシフトや勤務カレンダーを作り始めると、毎年のように出てくる質問があります。
「年末年始の休みの日も、パートさんに給料を払う必要がありますか?」
「月給の社員はどうなるのでしょう?」
答えは、その休みが就業規則上「休日」なのか「休暇」なのか、そしてすでに勤務日として決まっていた日なのかによって変わります。本記事では、年末年始の休みと賃金の関係を整理します。
「休日」と「休暇」はここが違う
| 休日 | 休暇 | |
|---|---|---|
| そもそもの意味 | はじめから労働義務がない日 | 本来は労働日だが、労働義務を免除する日 |
| 年末年始の例 | 就業規則や年間カレンダーで「12/29〜1/3は休日」と定めている | 「年末年始休暇(特別休暇)」として定めている |
| 年次有給休暇 | 使えない(休日に年休は取れない) | 規程の内容による |
| 年間休日の数え方 | 年間休日に含まれる | 年間休日には含まれない |
年末年始の休みは、法律で決まっているものではありません。会社が就業規則などで決めるものです。まずは自社の就業規則で、年末年始がどちらとして書かれているかを確認してください。
月給制の社員の場合
月給制の場合、年末年始に休んでも、欠勤控除をしない限り月給はそのままというのが一般的です。
ただし、年末年始を「休日」とするか「休暇」とするかで、年間の所定労働日数が変わります。所定労働日数は残業代の計算の基礎(1時間あたりの単価)に影響しますので、残業代の単価を計算するときの日数と、カレンダー上の休日の扱いがそろっているかは確認しておきたいところです。
時給・日給のパート・アルバイトの場合
ここがいちばんご相談の多いところです。
はじめから「休日」と決まっている日
就業規則や年間カレンダーで年末年始を休日と定め、その日をシフトに入れていない場合、働いていない日の賃金を支払う必要は原則としてありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。
いったん「勤務日」と決めたあとで休みにした日
注意したいのはこちらです。シフトで勤務日として決めていた日を、会社の都合で休みにした場合は、労働基準法第26条の「休業手当」(平均賃金の60%以上)が必要になるのが一般的です。
「年末は暇になったので、出勤予定だった30日を休みにしてほしい」というケースが典型例です。シフトを確定させる前に休みを決めることが、トラブルを防ぐいちばんの方法です。
なお、時給・日給の方の平均賃金は、「直近3か月の賃金総額÷その期間の労働日数×60%」の最低保障額と比べて、高いほうを使います。出勤日数が少ない方ほど、計算に注意が必要です。
「特別休暇」として定めている日
年末年始を特別休暇としている場合、有給か無給かは就業規則の定め次第です。規程に何も書かれていないと、従業員とのあいだで解釈が分かれる原因になります。「有給とする」「無給とする」をはっきり書いておくことをおすすめします。
年末年始に向けて確認しておきたいこと
- 1年単位の変形労働時間制を使っている会社は、労使協定で定めた労働日・休日を、対象期間の途中で会社の都合により変更することは原則としてできません。年末年始の休日がカレンダーどおりになっているか確認してください
- 年末年始に出勤してもらう日がある場合は、振替休日と代休の違いを確認してください(「振替休日と代休、何が違う?」)
- 年末年始の前後に有給休暇を組み合わせて取ってもらうなら、計画的付与も選択肢です(「来年の年5日を先に片づける、計画的付与という考え方」)
まとめ:年末年始の休みと賃金のチェックリスト
- □ 就業規則で、年末年始が「休日」か「休暇」かを確認したか
- □ 特別休暇の場合、有給か無給かが規程に明記されているか
- □ 月給者の残業単価の計算日数と、カレンダーの扱いがそろっているか
- □ パート・アルバイトのシフトは、休みを決めてから確定させているか
- □ 確定後に会社都合で休ませる場合、休業手当を支払う段取りになっているか
- □ 変形労働時間制の年間カレンダーと矛盾していないか
年末年始の休みは、毎年のことだからこそ、ルールがあいまいなまま運用されがちです。今年のカレンダーを作る前に一度ご確認いただくと、年明けの給与計算で慌てずに済みます。
就業規則の休日・休暇の規定の見直しや、休業手当の計算についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
※本記事は2026年10月時点の法令・行政解釈に基づいています。個別の勤務形態や就業規則の内容によって、取扱いが異なる場合があります。
社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳
