
はじめに
2026年4月1日から、改正女性活躍推進法により、従業員101人以上の企業に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務づけられました。 これまで男女間賃金差異の公表義務は301人以上の企業に限られていたため、101人〜300人の企業にとっては初めての対応になります。
「施行は4月だったのに、まだ何もしていない」という会社もあるかもしれません。初回の公表期限は事業年度の終わりの時期によって異なり、3月決算や12月決算の会社であれば、まだ準備の時間があります。本記事では、公表の内容とスケジュール、準備の進め方を整理します。
何が変わったのか
| 企業規模 | 改正前 | 改正後(2026年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 301人以上 | 男女間賃金差異 + 2項目以上 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + 2項目以上 |
| 101〜300人 | 1項目以上 | 男女間賃金差異 + 女性管理職比率 + 1項目以上 |
| 100人以下 | 努力義務 | 努力義務(変更なし) |
101〜300人の企業は、必須の2項目に加え、「採用した労働者に占める女性の割合」「男女別の育児休業取得率」「有給休暇取得率」など14項目の中から1項目以上を選んで公表します。
また、女性活躍推進法は2026年3月末までの時限立法でしたが、今回の改正で2036年3月末まで10年間延長されています。
初回の公表はいつまでに?
初回は、改正法の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に公表します。その後も、おおむね年1回以上、最新の数値に更新します。
| 事業年度の終了 | 公表期限の目安 |
|---|---|
| 2026年4月末 | おおむね2026年7月末まで(すでに経過) |
| 2026年6月末 | おおむね2026年9月末まで(今月中) |
| 2026年12月末 | おおむね2027年3月末まで |
| 2027年3月末 | おおむね2027年6月末まで |
4月〜6月に事業年度が終わった会社は、期限が過ぎているか、目前に迫っています。 未対応の場合は、早急に公表の準備を進めてください。
たとえば12月決算の会社では、2026年1月〜12月の実績を2027年3月末までに公表する必要があります。賃金データの集計には時間がかかるため、秋のうちに集計方法を決めておくと安心です。
男女間賃金差異の計算と公表のしかた
男女間賃金差異は、男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合(%)で示します。
- 「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分で公表する
- 小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示する
- 対象期間、対象労働者の範囲、「賃金」の範囲(通勤手当を除く、など)といった計算の前提を付記する
数字だけを載せると、「なぜ差があるのか」が伝わらず誤解を招くことがあります。厚生労働省も、要因の分析や改善への取組を「説明欄」で補足することを推奨しています。たとえば「女性の短時間勤務者が多いため」「若手の女性社員の比率が高いため」など、背景を添えておくとよいでしょう。
女性管理職比率の「管理職」とは
女性管理職比率でいう「管理職」は、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」の合計です。「課長級」とは、次のいずれかに該当する人をいいます。
- 通常「課長」と呼ばれ、2係以上からなる組織、または構成員10人以上(課長を含む)の組織の長
- 呼称や構成員数にかかわらず、職務の内容と責任の程度が「課長級」に相当する人(最も下の職階ではないこと)
一般的に「課長代理」「課長補佐」は課長級に該当しません。社内の役職名と、この定義を照らし合わせる作業が最初のステップになります。
どこに公表すればよい?
公表の場としては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」がもっとも適切とされています。自社のホームページへの掲載でも差し支えありません。求職者は、この情報を企業選びの材料として見ています。採用活動の観点からも、必須項目にとどまらず積極的に公表することが望ましいとされています。
女性の健康への配慮も盛り込まれました
今回の改正では、女性活躍の推進は女性の健康上の特性に留意して行われるべきことが法律に明記されました。一般事業主行動計画の策定にあたっても、生理休暇を取得しやすい環境づくりや、通院・検診に使える休暇制度など、職場での女性の健康支援を盛り込むことが促されています。あわせて、こうした取組を評価する「えるぼしプラス」認定も新設されました。
まとめ:公表に向けた準備チェックリスト
- □ 常時雇用する労働者数が101人以上か確認したか(パート・有期も含む)
- □ 自社の事業年度から、初回の公表期限を確認したか
- □ 「賃金」の範囲や対象者など、男女間賃金差異の集計方法を決めたか
- □ 社内の役職と「課長級」の定義を照らし合わせたか
- □ 必須2項目のほかに公表する項目を選んだか
- □ 説明欄に書く要因分析・取組内容を検討したか
- □ 一般事業主行動計画の見直し時期を確認したか
数値の公表は、自社の現状を知り、採用力を高めるきっかけにもなります。早めに集計して、課題と打ち手を整理しておきましょう。
同一労働同一賃金の観点からの点検は「パート・有期の労働条件通知書が変わります」、育児期の両立支援は「育児期の『柔軟な働き方』措置は全企業の義務です」もあわせてご覧ください。
公表データの集計方法の整理や、一般事業主行動計画の策定についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
※本記事は2026年9月19日時点の公開情報(厚生労働省「女性活躍推進法が改正されました!」令和8年2月18日改定版等)に基づいています。個別の対応については専門家にご相談ください。
社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳
