【2026年版】学生アルバイトの「年収の壁」はどこ?|11月のシフト調整に備えて、会社が押さえておきたい3つの基準

【2026年版】学生アルバイトの「年収の壁」はどこ?|11月のシフト調整に備えて、会社が押さえておきたい3つの基準

はじめに

毎年11月から12月にかけて、学生アルバイトの方から「扶養に入れなくなるので、今月はシフトを減らしてください」という申し出が集中します。人手が足りなくなる時期と重なるため、頭を抱えておられる経営者の方も多いのではないでしょうか。

2026年は、この「年収の壁」が大きく動いた年です。税の面でも社会保険の面でも、学生が働ける上限は広がりました。 ところが現場では、古い数字のまま「103万円を超えたら親の扶養から外れる」と思い込んでいる学生が少なくありません。

本記事では、会社側が知っておくべき3つの基準と、11月のシフト調整に向けた備え方を整理します。

まず押さえたい3つの基準

学生アルバイトの「年収の壁」は、ひとつではありません。誰の、どの制度の話なのかで数字が変わります。

何の話か2026年の基準
①親の税金(特定扶養控除・特定親族特別控除)年収159万円までは親の控除は満額。197万円を超えると対象外
②親の社会保険の扶養(健康保険)19歳以上23歳未満は年収150万円未満
③本人の所得税年収178万円までは本人に所得税がかからない(2026・2027年分の特例)

学生本人が「扶養」という言葉で心配しているのは、ほとんどの場合①と②です。①②の基準は少しずつ違いますが、年収150万円未満に収まっていれば、どちらも親の扶養に影響は出ません。 学生への説明は「150万円」を目安にするとわかりやすいでしょう。

① 親の税金 ── 159万円までは控除が減りません

2026年分の所得税は、基礎控除・給与所得控除の引上げにあわせて、扶養の基準も見直されました。19歳以上23歳未満の子については、次のような仕組みです。

  • 子の年収が136万円以下なら、親は特定扶養控除(63万円)を受けられます
  • 136万円を超えても、159万円までは特定親族特別控除により、親の控除は満額63万円のまま
  • 159万円を超えると、段階的に控除額が減少
  • 197万円を超えると対象外

従来は「103万円を1円でも超えると、親の控除63万円が一気に消える」という崖がありました。これが解消され、159万円までは影響なし、そこから先もなだらかに減る形になっています。

なお、2026年分のこれらの改正は12月の年末調整でまとめて反映されます。毎月の給与からの源泉徴収には反映されていない部分がありますので、ご注意ください。

「働きすぎると親の税金が急に増える」という事態は、基本的に起こらなくなりました。 これは学生本人に伝える価値のある情報です。

② 親の社会保険の扶養 ── こちらも150万円

2025年10月から、健康保険の被扶養者認定について、19歳以上23歳未満の方(配偶者を除く)の収入要件が、年収130万円未満から150万円未満に引き上げられました。

ここで注意したいのは次の2点です。

  • 年齢は、認定日が属する年の12月31日時点で判定されます
  • 学生である必要はありません。 年齢と収入だけで判定されます

つまり、23歳の誕生日を迎える年から先は、この緩和の対象外です。「去年は150万円まで大丈夫だった学生が、今年は130万円に戻る」ということが起こりますので、学年ではなく年齢で確認するようお伝えください。

③ 本人の所得税 ── 178万円まではかかりません

2026年分と2027年分は、基礎控除(最大104万円)と給与所得控除(最低74万円)の特例により、給与収入が178万円までなら本人に所得税はかかりません。 親の扶養の話とは別の基準ですので、混同しないよう整理が必要です。

ただし、住民税は所得税とは別の基準で、より低い年収からかかることがあります。また、この特例は2027年分までの措置です。

なお、所得税がかかる年収を超えたからといって、手取りが逆転するわけではありません。超えた部分に税率をかけた金額が引かれるだけですので、働いた分だけ手取りは増えます。

学生は社会保険の適用拡大の対象外です

もうひとつ、会社側で誤解が生じやすいのが社会保険の適用拡大との関係です。

2026年10月1日から、短時間労働者の加入要件から賃金要件(月額8.8万円以上)が撤廃されました。「週20時間以上働く学生も社会保険に入れる必要があるのか」というご質問をいただきますが、昼間学生は、原則として適用拡大の対象外です。週20時間を超えても、会社の社会保険に加入させる必要はありません。

ただし、次の場合は対象になります。

  • 休学中の方
  • 夜間部・定時制の学生
  • 卒業後も引き続き雇用する場合(卒業した時点から対象になり得ます)

特に卒業予定者の3月・4月の切り替わりは見落としやすいところです。「そのままアルバイトを続けてもらう」というケースでは、加入要件の再判定が必要になります。詳しくは「新たに社会保険に入るパートさんへの説明のしかた」もあわせてご覧ください。

11月のシフト調整に、会社はどう備えるか

対策1:10月のうちに年収見込みを伝える

いちばん効果があるのは、「今のペースで働くと、年内であと○万円です」と早めに数字で示すことです。

11月に入ってから本人が慌てて計算し、「もう働けません」と急にシフトを外れるのが、会社にとって最も困る展開です。10月の給与明細に年収見込みのメモを添える、シフト提出時に声をかけるといった一手間で、急な欠員はかなり防げます。

対策2:古い数字のままの学生に情報を渡す

「103万円」「130万円」で覚えている学生は、まだ非常に多いところです。親の扶養の目安が150万円まで広がったことを知らないために、必要のないシフト調整をしているケースが実際にあります。

本記事の3基準の表を印刷して休憩室に貼っておくだけでも、無用な調整は減ります。ただし、個別の税額の判断まで会社が踏み込むのは避けてください。 「詳しくはご家族と、または税務署にご確認を」と添えるのが安全です。

対策3:12月の人員計画を、11月上旬に固める

年末は、学生の調整と繁忙期が重なります。11月上旬の時点で12月のシフトを確定させ、足りない部分は早めに補充に動くのが現実的です。

なお、会社が一方的に所定労働時間を減らすことは労働条件の不利益変更にあたります。本人の希望による調整であることを、シフト表や申出書の形で残しておくと、後日のトラブルを防げます。

まとめ:会社が押さえておきたいポイント

  • □ 親の税・社会保険の扶養は、いずれも150万円未満なら影響がないと理解しているか
  • □ 本人の所得税は、2026年分は178万円までかからないことを確認したか
  • □ 年齢はその年の12月31日時点で判定することを確認したか
  • □ 昼間学生は社会保険の適用拡大の対象外であることを確認したか
  • □ 卒業予定者の4月以降の取扱いを検討したか
  • □ 10月中に、学生に年収見込みを伝える段取りを作ったか
  • □ 12月の人員計画を11月上旬に固める予定を立てたか

「年収の壁」は、毎年のように制度が動いています。去年の常識が今年は通用しないという前提で、その都度確認していただくのが確実です。会社から正しい情報を渡せる体制があること自体が、学生アルバイトの定着につながります。

年末調整の準備については「年末調整2026 準備スケジュール」もあわせてご覧ください。

パート・アルバイトの労働時間管理や社会保険の加入判定についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。


※本記事は2026年10月時点で公表されている法令・制度に基づいています。金額はいずれも給与収入ベースの目安であり、他に収入がある場合などは判定が異なります。税額の個別のご相談は、税理士または所轄の税務署へお問い合わせください。

社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳

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