【10月1日から】パート・有期の労働条件通知書、実際にどう書く?そのまま使える文例と注意点

【10月1日から】パート・有期の労働条件通知書、実際にどう書く?そのまま使える文例と注意点

はじめに

2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法が改正され、パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇い入れる際の明示事項に1項目が追加されます。

制度の概要は「パート・有期雇用の労働条件明示が変わります」でご紹介しました。本記事では、ひな形の何行目に、どんな文章を足せばよいのかという一点に絞って、そのまま使える文例をご紹介します。

10月1日以降に雇い入れる方から適用されますので、9月中にひな形を直しておきたいところです。

追加されるのは「説明を求めることができる旨」の1項目

パート・有期雇用労働者には、労働基準法で定められた明示事項に加えて、次の項目を文書などで明示する義務があります(パートタイム・有期雇用労働法第6条)。

明示事項
①昇給の有無
②退職手当の有無
③賞与の有無
④相談窓口
⑤待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨(10月1日から追加)

⑤は、「正社員と待遇が違う理由について、会社に説明を求めていいですよ」ということを、あらかじめ本人に知らせておく趣旨の項目です。

ポイントは、説明そのものを先に書く必要はないという点です。求められたときに説明する義務はもともとありますが、今回追加されるのは「求めることができると伝えておく」ことの義務化です。ひな形への追記は1〜2行で足ります。

そのまま使える文例

文例A(シンプルに済ませる場合)

> 待遇の相違に関する説明
> 通常の労働者(正社員)との間の待遇の相違の内容および理由等について、説明を求めることができます。説明を求める場合は、下記の相談窓口までお申し出ください。

文例B(相談窓口と一体で書く場合)

> 相談窓口
> 部署名:総務部 担当者職氏名:総務課長 ○○○○ 連絡先:043-○○○-○○○○
> ※雇用管理の改善等に関する事項のほか、通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由等についても、説明を求めることができます。 お申し出があった場合、会社は資料を用いて説明いたします。

既存のひな形に「相談窓口」欄がある会社は、文例Bのように1文を足すのがいちばん手間がかかりません。

文例C(不利益取扱いの禁止まで明記する場合)

> 待遇の相違に関する説明
> 通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由、ならびに待遇の決定に当たって考慮した事項について、説明を求めることができます。説明を求めたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをすることはありません。

法律上、説明を求めたことを理由とする不利益取扱いは禁止されています。文例Cのように書いておくと、従業員が萎縮せずに相談しやすくなり、結果としてトラブルの早期発見につながります。

見落としやすい3つの注意点

① 契約更新のときも「雇い入れ」にあたります

明示義務は「雇い入れるとき」に生じますが、有期契約の更新も、その都度新たな雇い入れとして扱われるのが一般的な取扱いです。10月以降に契約更新を迎えるパート・アルバイトの方についても、更新時の通知書に⑤を入れておきましょう。

「新規採用の予定がないから急がなくてよい」と判断してしまうと、更新のタイミングで漏れが生じます。

② 明示義務違反は過料の対象です

明示義務に違反した場合、行政指導を経てもなお改善されないときは、10万円以下の過料の対象となるとされています。金額の大小より、指導を受けた事実が残ることのほうが会社にとっては負担でしょう。

③ 正社員のひな形と混同しないこと

⑤の明示義務は、パートタイム労働者・有期雇用労働者が対象です。フルタイムの無期雇用(正社員)には適用されません。ひな形を一本化している会社は、どちらに使うものか分かるようにしておくと安全です。

同じ10月1日から、ガイドラインも変わります

労働条件通知書の話とあわせて押さえておきたいのが、同一労働同一賃金ガイドラインの改正です。10月1日から、次の待遇について考え方が明確化されます。

待遇改正後の考え方
家族手当継続的な勤務が見込まれる労働者には、正社員と同一の支給が求められる
住宅手当転居を伴う配置変更がある労働者には、正社員と同一の支給が求められる
夏季・冬季休暇正社員と同一の付与が求められる

「パートだから家族手当は出さない」「夏季休暇は正社員だけ」という運用をしている会社は、説明を求められたときに合理的な理由を示せるかを、この機会に点検しておくことをおすすめします。

説明の方法についても、資料を活用した口頭説明、または分かりやすい資料の交付によることが求められる方向です。口頭で「決まりですので」と答えるだけでは足りないとお考えください。

まとめ:9月中に終わらせたい5つのこと

  • □ パート・アルバイト用の労働条件通知書のひな形に、⑤の1文を追加したか
  • □ 相談窓口の担当者名・連絡先が最新になっているか
  • □ 10月以降に契約更新を迎える方のリストを作ったか
  • □ 採用担当者・現場責任者に、10月からの変更点を共有したか
  • □ 家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇の支給対象を確認し、説明できる理由を整理したか

追加されるのは1項目だけですが、ひな形の修正漏れは、対象者全員に一律で影響します。 数分の作業で済むうちに手を入れておきましょう。

10月1日の制度変更の全体像は「4つの制度変更の総点検」、就業規則側の整備は「就業規則の見直しポイント」もあわせてご覧ください。

労働条件通知書のひな形の作成・点検、待遇差の説明資料の整備についてお困りのことがございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。


※本記事は2026年9月25日時点の法令・指針および公表されている情報に基づいています。文例は一般的な記載例であり、個別の労働条件や運用に応じた調整が必要です。詳細は専門家にご相談ください。

社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳

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