【10月1日まであと2週間】4つの制度変更、やり残していませんか|最低賃金・カスハラ・社会保険・パート有期ルールの総点検

【10月1日まであと2週間】4つの制度変更、やり残していませんか|最低賃金・カスハラ・社会保険・パート有期ルールの総点検

はじめに

2026年10月1日は、中小企業にとって4つの制度変更が同時に始まる日です。

  1. 最低賃金の改定(千葉県は1,195円)
  2. カスタマーハラスメント対策の義務化(全企業が対象)
  3. 社会保険の適用拡大(賃金要件の撤廃)
  4. パート・有期雇用労働者に関するルールの改正(労働条件の明示事項の追加など)

それぞれ単独では対応できる内容ですが、4つが重なると準備が追いつかず、気づいたときには施行日を過ぎていたということが起こりがちです。

本記事では、10月1日までに終わらせておきたいことを1本のチェックリストにまとめました。すでに個別の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

① 最低賃金の改定(千葉県 1,195円)

千葉県の最低賃金は、2026年10月1日から1,195円(55円の引上げ)となります。

見落としやすい点

基準は支払日ではなく労働日です。 10月1日以降に働いた分から新しい金額が適用されます。給与の締日が月末以外の会社では、1つの給与計算期間に旧額と新額が混在しますので、計算方法を決めておく必要があります。

また、月給制の正社員も対象です。時給に換算したうえで、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・割増賃金・賞与を除外して判定します。

業務改善助成金の締切が迫っています

賃上げとあわせて設備投資を行う場合、業務改善助成金の対象となる可能性があります。ただし申請期限は「最低賃金の発効日の前日」または「2026年11月30日」のいずれか早い日です。

発効日が10月1日である千葉県では、9月30日が申請期限にあたります。申請には計画作成から交付決定までの順序を守る必要がありますので、ご検討中であればすぐに動かれることをおすすめします。

▶ 詳しくは「千葉県の最低賃金が1,195円に|経営者が9月中にやるべき3つの準備」をご覧ください。

② カスタマーハラスメント対策の義務化

改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日からカスハラ対策が全事業主の義務になります。

中小企業も猶予期間はありません

パワハラ防止措置のときは中小企業に猶予期間が設けられましたが、今回は従業員を1人でも雇用していれば、企業規模を問わず10月1日から一斉に対象となります。「うちはまだ先だろう」という思い込みが、もっとも危険なパターンです。

最低限そろえておきたい3点

準備が間に合っていない場合、まずは次の3点を優先してください。

  1. 会社としての方針を明確にし、従業員に周知する(書面の掲示・配布、朝礼での説明など)
  2. 相談窓口を決めて周知する(担当者を決め、連絡先を明示するだけでも形になります)
  3. 発生時の対応手順を決めておく(一人で抱えさせない、記録を残す、上長へ引き継ぐ)

措置を怠った場合は行政による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合には企業名が公表される可能性があります。

▶ 詳しくは「カスハラ対策が全企業で義務化|中小企業が今すぐ準備すべきこと」をご覧ください。

③ 社会保険の適用拡大(賃金要件の撤廃)

2026年10月から、短時間労働者の社会保険加入要件のうち、「月額賃金8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されます。

対象となる企業

今回の改正で影響を受けるのは、従業員数51人以上の企業です。企業規模要件そのものは2027年10月以降に段階的に引き下げられる予定ですので、50人以下の企業は今回の対象外となります。

何が変わるのか

賃金要件がなくなることで、判定の中心は「週の所定労働時間20時間以上」に移ります。週20時間以上・2か月を超える雇用見込み・学生でないという3つの要件は維持されます。

これまで「月8.8万円未満に抑える」という働き方をしていた方が新たに加入対象となるため、対象者への説明と、扶養に入っている場合の見直しが必要になります。会社側も保険料の事業主負担が増えますので、人件費への影響を試算しておきたいところです。

▶ 詳しくは「「106万円の壁」が撤廃へ|パートを雇う中小企業がすべき準備」をご覧ください。

④ パート・有期雇用労働者に関するルールの改正

パートタイム・有期雇用労働法の施行規則と告示が改正され、2026年10月1日から施行されます。パート・アルバイトや契約社員を1人でも雇っていれば、企業規模を問わず対象です。

労働条件通知書に1項目を追加

パート・有期雇用労働者を雇い入れる際の明示事項(昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口)に、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」が加わります。違反した場合は10万円以下の過料の対象とされています。

10月以降に使う労働条件通知書のひな形を修正しておくことが必要です。有期契約を更新する方や、定年後に有期契約で再雇用した嘱託社員の通知書にも反映してください。

同一労働同一賃金ガイドラインも改正

あわせて、どのような待遇差が不合理かを示したガイドラインに、退職手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などの項目が追加されます。「正社員だから支給、契約社員だから対象外」という雇用形態だけを理由にした線引きになっていないか、手当ごとの支給目的を確認しておきたいところです。

▶ 改正内容の詳細は、近日公開の記事で詳しく解説します。

9月中に終わらせたいことの優先順位

4つすべてを同時に進めるのが難しい場合は、次の順序をおすすめします。

優先度やること理由
最優先業務改善助成金の申請可否の判断9月30日が期限。過ぎると次年度まで機会がない
高最低賃金を下回る従業員の洗い出し10月1日以降は法違反となる
高カスハラの方針明示と相談窓口の設置施行日時点で措置が必要
高パート・有期用の労働条件通知書のひな形修正10月1日以降の雇い入れ・契約更新から必要
中社会保険の新規加入対象者の抽出と説明手続き自体は10月以降でも間に合う
中就業規則・賃金規程への反映実務対応を先行させ、規程は後追いでも可

規程の改定には時間がかかります。まず実務の運用を整え、規程は後から追いつかせるという順序で差し支えありませんが、あとで必ず反映してください。

まとめ:10月1日までのチェックリスト

  • □ パート・アルバイトの時給を1,195円と照合したか
  • □ 月給制の従業員も時給換算して確認したか
  • □ 給与計算期間をまたぐ場合の計算方法を決めたか
  • □ 業務改善助成金の申請可否を判断したか(千葉県は9月30日締切)
  • □ カスハラに関する会社の方針を文書化し、周知したか
  • □ カスハラの相談窓口を決め、連絡先を従業員に伝えたか
  • □ カスハラ発生時の対応手順を決めたか
  • □ 社会保険の新規加入対象となる従業員を洗い出したか(51人以上の企業)
  • □ 対象者への説明の場を設けたか
  • □ パート・有期用の労働条件通知書に「待遇差の説明を求めることができる旨」を追加したか
  • □ 手当・休暇ごとの支給目的と、正社員との差の理由を整理したか
  • □ 就業規則・賃金規程への反映スケジュールを立てたか

10月1日は目前です。すべてを完璧に整えることが難しくても、「何が未対応か」を把握できている状態にしておくことが、リスク管理の第一歩になります。

規程の整備は、今回の4つをまとめて反映できる好機でもあります。就業規則の点検については「就業規則、最後に見直したのはいつですか?」もあわせてご覧ください。

自社の対応状況の確認や、規程への反映についてご不安な点がございましたら、詳細はお気軽に当事務所までご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。


※本記事は2026年9月13日時点の公開情報に基づいています。業務改善助成金は国の予算に達した時点で受付が早期に終了する場合があります。最新の情報は厚生労働省・各都道府県労働局の発表をご確認ください。

社労士事務所LDパートナーズ(千葉市)
代表 社会保険労務士 大城里佳

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